【解説】『バカ論(新潮新書)』ビートたけし著

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この世の中は、昔も今もバカばっかり。

そして、バカな奴を見ると腹が立つ。

黙っちゃいられない。

これが、『バカ論』を書いた動機。

この本の「はじめに」で、

その人がバカかどうかを見分ける方法があると書いてある。

「バカを見つけるにはひとつコツがある。

そいつに質問させればいい。そうすればすぐに馬脚を現す」

著者曰く、

バカな人は質問が間抜けだと言う。

そして、

この本の第1章のタイトルは、

「バカなことを聞くんじゃない」

間抜けな質問は、

この一言で一蹴。

ただ、

全ての質問をこれで片付けているわけではない。

「どうしたら売れますか?」

A.「人気が出れば売れる。

そのためには、面白ければいい。それだけ。

芸人の世界なんて本当は単純なんだ。」

至ってシンプルな答え。

しかし、

これだけでは終わらない。

しばらく読み進めると、

「ただ一つだけ、芸を盗むのは大事なことだと言える。

それも『こいつは上手いな』という奴から盗むこと。それがいい訓練になる」

とある。

「芸に特許があるわけじゃない。周りに『あいつ勉強したんだな』と思わせれば勝ち。盗んでただ同じような芸をするのではなく、それを自分のものにして、いかにオリジナルを超えていくか。超えちゃったら、その時点でもうそいつの芸だから。

だから何を盗むか、というのは、芸人として問われるべき大事なセンス」

「自分が盗むべきものは何か、何を上手いこと取り入れるかー。

とりあえずはそれだけを考えておけばいい」

芸人以外の人にも当てはまる、

示唆に富んだメッセージだ。

自分にたりていないものは何か。

自分が盗むべきものは何か。

盗んだらそれを自分のものにして、

いかにオリジナルを超えていくか。

この本は、

「バカ論」に見せかけた人生論だ。

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